英語のリーディングの勉強に「Polyglots」というアプリを使う
先回、先先回に続いて英語勉強アプリを紹介したい。
過去の2回のエントリは英語のリスニングの勉強に使えるアプリだったが、今回はリーディングに使えるアプリだ。
しかもご安心いただきたい。
今回のアプリは「無料」である。
アプリの名前はタイトルにあるように「Polyglots」だ。
このアプリには下記のような特徴がある。
- 「グノシー」のように、自分の興味のあるジャンルを登録し、それに見合った最新の海外ニュースを配信
- 「 ペースメーカー機能」によりネイティブが読むスピードの体感が可能
- 記事中の分からない単語をタッチすればその場で翻訳
- 調べた単語は自動保存され、自分仕様の単語帳が作成
- 単語テスト機能を装備(自分仕様の単語帳の復習や、あらかじめ登録されたTOEIC対策用の単語の学習が可能)
- 自分が読むスピードは記録・保存され、自分の学習習熟度の把握が可能
リーディングの勉強において、海外の著名な雑誌の記事を読むことがよく推奨されている。例えば、「ニューヨークタイムズ」や「ウォールストリートジャーナル」などの記事だ。皆さんも読んだことがあるかどうかは置いておいて、雑誌名は知っているだろう。
かくいう僕も上記の雑誌のサイトにアップされている無料で読める記事にトライしたことがあるが、まず見出しの内容が分からなかったりして、全然頭に入ってこなかった苦い記憶がある。
これは日本語の勉強をしている外国人がいきなり日経新聞を読むようなもので、英語に自信のないビギナー寄りの人にはちょっとレベルが高い。
また、著名な雑誌は内容も固かったりして、記事自体に興味を惹かれなかったりもする。
一方、「Polyglots」は自分の興味に応じたニュースを配信してくれ、かつ分からない単語は画面上でタッチすればその場で意味が表示されるため、記事を読む上で強力なサポートが得られる。
リーディングは英語の基本的な4つのスキル「リーディング」「リスニング」「スピーキング」「ライティング」の中で、最も基本的なスキルだと思う。
英語のリーディングというのは、言ってみれば英語の語順で文章の内容を理解することに他ならない。この英語の語順を繰り返し脳に刷り込むことで、英語脳(こういうものが脳科学的に実際あるのかは分からないが、概念として理解いただきたい)が形成される。
そして英語脳は「リーディング」以外のスキルを身に付ける上での土台になるものだ。
さらに「Polyglots」は自分仕様の単語帳を作ったり、抜き打ちの単語テストがあったり、習熟度が見えるなど、英語の勉強を継続させるための工夫が織り込まれている。
ちなみに「Polyglots」使用による英語の勉強の継続率は70%だそうだ。
100人中70人が挫折せずにこのアプリを使い続けているというのは、かなり高いレベルといえるのではないだろうか。
以上のことから英語力の基礎づくりをする上で、この「Polyglots」は大変役に立つのではないだろうか。
英会話アプリ「ライブ英会話」で生の英会話を学ぶ
先回のエントリに続いて英語アプリを紹介したいと思う。
今回紹介するのは英会話の勉強に役に立つ「ライブ英会話」だ。
簡単に言うと、よくニュースで流れる外国人のインタビュー映像を大量に集め、シチュエーション別に分類したものだ。
といっても、既存の映像を集めてきたわけではなく、制作陣がカメラ片手に額に汗をかきながらネイティブにインタビューしまくり、動画を編集し、日英の字幕をつけてジャンル別に分類するという、非常に泥臭く作られた代物だ。
その苦労はアプリ紹介にある下記の情報に集約されている。
まさに制作陣の努力の賜物だ。
こういうアプリはダメなアプリであるはずがなく、制作陣に対しては、頭を垂れて謹んで使わせていただくのが礼儀かもしれない。
アプリは有料だがたった¥120(15年9月現在)なので、200人の製作者が5年間心血を注いだアプリが缶コーヒー一本の値段で手に入ってしまうとは、時代の変化をしみじみと感じる。
昔(小学校5~6年の頃)小学館が運営する英会話教室 ホームパルというのに通っていたが、教材として購入した、少し大きめのアタッシュケースくらいの箱にテキストとカセットテープがぎっちりと入っていたやつはきっと1万円以上したに違いない。
僕がこのアプリをダウンロードした理由としては、制作陣の努力に対しての実際の価格の安さももちろんあるが、一番の理由としては下記だ。
「ネイティブの生の英語が聞ける!」
アプリ名が「ライブ英会話」というくらいだから、当たり前と言っては当たり前なのだが、僕にとってはこの「ライブ」=「生」というのがけっこう重要だった。
どういうことかというと、皆さんは英会話の勉強をしていて次のような違和感を感じたことはないだろうか。
「この本に書かれているような会話例って、実際にネイティブの人達の間で話されているの?」
もちろん英語教材なので、会話例はある程度 形式化してしまっているというのは仕方がないのだが、リアリティがなくて、なんとなく物足りない。
一番リアリティを感じることができるのは、実際に外国人と英語で会話をすることなのだが、それはここでは置いておく。
とにかく「ライブ英会話」は「生の英語」と「形式化された英語教材の会話例」の間をつなぐものとして、優れた英会話の勉強ツールであるのは間違いない。
アプリに登場するネイティブは500人いるらしく、それぞれ人の言い回しの違いだったり、アドリブのはさみ方だったりを聞いていくうちに、かなり実際に近い英会話の勉強になるのではないだろうか。
TEDのアプリ(TEDi SUBTITLE)は英語のリスニング教材としてけっこう役立ちそう
先回は重量級のエントリーを投下してしまったので、少しライトにしていきたいと思う。
1. 同時に2言語の字幕が表示できる
TEDなどの英語の動画を見てリスニングの勉強をする場合、以下のようなやり方がオーソドックスだと思う。
②英語の字幕を表示させて動画を見る
つまり、英語の動画を見るというだけでも最低3ステップ必要になる。
数分の動画ならまだよいが、これが10分、20分 となってくると、①→②のステップがとても億劫に感じるのではないだろうか。
上記のアプリを使えばこの①②のステップをひとつにまとめられるため、効率良くリスニングの勉強ができる。
ちなみに、2言語表示というのは「日本語&英語」組合せに限ったわけではないので、
例えば「日本語&中国語」や「日本語&ドイツ語」の組合せにすれば上記のやり方で、
ほかの言語も学ぶことができる。
当然、動画の内容を理解していれば、より効率的に他言語を学ぶことができるため、1つの動画を一粒も二粒もおいしく味わえる。
2. 素晴らしいプレゼンが聞けで刺激的!
これは別にこのアプリを使わなくてもTED自体を見れば事足りるだが、どうせならリスニングの勉強もかねてしまえば一石二鳥だ。
ちなみに僕はこのアプリを使ってgoogle創始者のセルゲイ・ブリン &ラリー・ペイジのプレゼン動画や、テスラモータースCEO 現在の世界最高の経営者 イーロン・マスクの対談動画を観てみたが、食い入るように観てしまった。
日本にいると海外の経営者の声はニュースでの一部の引用だったり、日本人著者の書籍を通した又聞き情報だったりして、なかなかダイレクトに伝わってこなかったが、TEDでは本人がしゃべっているのでダイレクトな情報に加え、本人の思いも伝わる。
良質なプレゼン動画は何回も楽しめる。
僕はたまたま上記の動画を観たが、TEDには素晴らしいプレゼンが五万とある。
繰り返しが必要なリスニングの勉強にはTEDの動画はもってこいだ。
以上、2点からこのアプリが英語のリスニングに役立つことは分かっていただけたと思う。ちなみにこのアプリは有料だが、上記のメリットを考えれば誤差みたいなものなので、あまり気にしなくてもいいと思う。
(TOEICの受験料は1回で税込み¥5,725だ!)
ユダヤ人の頭(イディシェ・コップ)③
ユダヤ人の頭(イディシェ・コップ)②
さて、①では『ユダヤ人とは』について説明したが、今度はユダヤ教について説明させていただきたい。
ユダヤ人に成功者が多いことの要因と、ユダヤ教は不可分の関係にあるからだ。
ユダヤ教の開祖(つまり最初のユダヤ人)は紀元前1800年頃、現在のイラクに住んでいた。彼の名はアブラム(後にアブラハムに改名)。
ユダヤ教は彼の論理的思考から始まっている。(ちなみにキリスト教もイスラム教もユダヤ教から生まれており、アブラムはユダヤ教の父でもあり、キリスト教、イスラム教の父でもある。そう考えると彼が世界に与えたインパクトは計り知れない)
どういうことかというと、彼は論理的思考によって神の存在にたどり着いている。詳細は下記にて示す。
ⅰ. アブラムは3歳まで洞窟の中で暮らしており、3歳になった時洞窟を出る
ⅱ. 彼は食べ物を生み出す大地に感謝し、大地を信仰
ⅲ. 食べ物は雨が降らなければ育たないため、雨を降らせる空を信仰
ⅳ. 空は太陽に支配されており、大地を暖めることから太陽を信仰
ⅴ. 太陽は沈み月が顔を出すため、実は月が王だと考え、月を信仰
ⅵ. 月と太陽が交互に顔を出すことから、その規則を作った遥かな高い英知をもつものが天上にいるはずだと確信し、その存在=神を信仰
上記ⅰ〜ⅵのステップにに基づく合理性はユダヤ教の核となっている
次にユダヤ教のキーマンとして現れるのがモーゼだ。皆さんも名前くらいは聞いたことがあるだろう。
時代は不明(紀元前)だが、当時ユダヤ人の多くはエジプトに住んでいたが、ユダヤ人が多くなるにつれ、エジプト人が不快感を募らせ、ユダヤ人を迫害し始める(エジプト人による迫害)。これに対し、モーゼはユダヤ人を指導し、エジプトから脱出する(出エジプト、海を真っ二つに割って脱出した伝説が有名)。
その後、聖書によればモーゼはシナイ山で神と出会い、有名な十戒が書かれた石板(文書化されているということがポイント)や神からの口伝による戒律(後にトーラーと呼ばれ旧約聖書により文書化、613個もの戒律がある)を授かる。
上記のモーゼの話をまとめると、ユダヤ教の基本は文書化された戒律集である。
ちなみにモーゼが神から授かった口伝は旧約聖書にて文書化されていないものもあり、紀元後に文書化されている。これらは『口伝版トーラー』と呼ばれ、後に『タルムード』と呼ばれる文書の基礎となっている。
タルムードは細かい生活習慣(食事の方法からセックスに至るまで)について書かれており、ユダヤ人社会の宗教・文化的核となっている。
少し話が脱線するが、ユダヤ人の成功の秘訣をこのタルムードに見出すビジネス書がいくつかあるが(特に日本人が書くビジネス書)、現在のユダヤ人にとってタルムードは読んだことすらないことが多く、あくまで研究者が研究する対象というような位置付けのようである。
ただし、ユダヤ人の成功と全く関係がないかというと、そういうわけでもなく、タルムードの内容というよりは文書構成自体が関与しているといえる。
タルムードの文書構成は口伝をまとめた部分(ミシュナ)と、それに対する解釈を記した部分(ゲマラ)で出来ている。実際には一つのページにミシュナと
ゲマラが記されている形になる。
このことが意味するのは、ユダヤ教では戒律自体に加え、その解釈も同じくらい重要だということである。しかもその解釈は想像力を駆使した論理的なものである。
このことは、ユダヤ人の成功とタルムードの関係性に関連するので、心に留めといて欲しい。
さて、ユダヤ教の基本が『文書化された戒律集』にあるということは説明したが、これは土台が出来ただけであり、現在のユダヤ教が完成に至るにはもう少し歴史的なトピックを必要とするため、説明にお付き合いいただきたい。
モーゼの没後、ユダヤ人は現在のイスラエル国のあるカナンという土地に落ち着き、首都をエルサレムとし、イスラエル王国をつくった(紀元前1000年頃)。イスラエルはソロモン王の時代(紀元前970年から933年)に繁栄を極めた。
ソロモン王はユダヤの寺院を建設し、僧侶によりトーラーに沿った祈祷が行われていた。
ソロモン王没後、内紛が起きイスラエルは分断され、イスラエルを含めたいくつかの国ができる。
その中の一つであるユダ王国は隣国のバビロンに占領され、ユダヤ人はバビロンに連行される(有名なバビロン捕囚)。幸いバビロンはユダヤ人には友好的であり、ユダヤ教の信仰を許可する。
しかし、バビロンにはユダヤの寺院がないため、ユダヤ教は寺院を中心とした『中央集権的』な宗教ではなく、『非中央集権的』な宗教に変革した。
祈祷は寺院に代わり『シナゴーグ』と呼ばれる建物で行われ、僧侶の代わりに『ラビ』と呼ばれる人々が祈祷を仕切るようになった。
イスラエル王国では祈祷は世襲制の僧侶が行っていたが、ラビは教育を受けた普通の人がなるため、血筋ではなく、教育程度がユダヤの文化では重要視されるようになった。
ただし、多くのユダヤ人は信仰の自由はあるものの、上記のようなユダヤ教の変革について不満に思い、『バビロン捕囚』を次第に悲劇と考えるようになる。
ここで、ユダヤ教の重要な『メシア(救世主)思想』が生まれる。つまり、ユダヤ人にとって最悪の時にメシアが現れ、ユダヤ人を救ってくれるというハッピーエンドの思想である。
パピロンはその後、ペルシアに占領され、ペルシアはギリシャに占領される。
そして、ギリシャはローマ帝国に占領され、それに伴いユダヤ人の地理的分散(前の記事で述べた『ディアスポラ』)が起こる。
この地理的分散により、ユダヤ教の『非中央集権化』と、文書版トーラー(モーゼが神から授かった口伝による戒律を文書化したもの)への依存度が高まっていく。
以上、ユダヤ教の歴史と変遷をつらつらと説明してきたが、ここで本題のユダヤ人の成功の秘訣と関わるユダヤ教のポイントとして、以下の4つにまとめたいと思う。
A. 論理的かつ、解釈が必要(アブラムの神の存在への到達や、タルムードの解釈込みで文書として成立)
B. 最後はハッピーエンド(メシア思想)
C. 非中央集権的(他国の占領によるユダヤ人のディアスポラ)
D. 寄付の重要性
(唐突に出てきたが、ユダヤ教の戒律にもあり、ユダヤ人の成功の秘訣に関わるユダヤ教のポイントとして挙げておきたい。ちなみに『チャリティー』の語源はヘブライ語(ユダヤ人の言語)の『ツェダガー』から来ている)
[ユダヤ人の頭(イディシェ・コップ③)へ続く]